『消えゆく世界』
「ミサ、どうする。さすがにネタがもうないぞ。」
「うーん、困ったわね。でも、今回、書けば主催者から、ビックなプレゼントが
でるという噂だし。」
「でも、文章かくには才能っているから。」
「そうね。全然、ナッシングだものね。無理だわ。」
ため息をついて悩む二人。
「あっ、るー君。グッドなアイデアよ。これで、エンドってどう。」
「ミサにしてはいいアイデアじゃないか。でも、テーマが入ってないよ。」
「それもそうね。じゃ。」
「やめてくれー。」
いきなり、マラソンをさせられる留魅耶。口は災いの元である。
「はい食べて。」
走って食欲のない所に、大量に食べさせられる。
「これで、テーマもフィニッシュね。どうせ、書いてもろくなものにならないん
だから、
これで充分だわ。そういう事で、バイバイ。」
------ 完 --------
「ミサがいなくなったわ。」
「ふふ、これで僕らの天下だよ。」
「魎ちゃん、でも、ここどこ。」
「虹色の世界じゃない。」
「はは、あんな文学的名作の世界は、才能のない人間にはつくりだせないから、
違うね。」
「でも、やたら、色がいっぱいだよ。」
「確かに。」
「12色はあるんじゃない。」
「ああ、ここは。」
「どうしたの。」
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「十二の悪い癖、寝坊。」
笛をもったにわとりに、おこされる女の子。
「うるさいわね。ちょっと。えっ、ここどこ。」
「砂沙美ちゃん、ここはジュライヘルムの隣に位置する王国。」
豚がしゃべる。
「ええー、どうしたの魎ちゃん。でも、その姿も可愛いけど。」
「どうしたんだ。二人とも、変だぞ。」
にわとりが心配そうに言う。
「とりあえず、逃げるぞ。」
「わけわかんないよ。でも、にげるわよー。」
「この世界では、砂沙美ちゃんは王女さまなんだ。それで、僕はおつきの豚。」
「それで、どうして、こんな所にいるの。」
「よく聞いてくれ、ミサがいなくなった事により、ジュライヘルムの善悪バラン
スは
大きく邪の方に傾いたんだ。」
「どうして、ミサがいなくなったら。」
「言わないでくれ。ともかく、その歪みによって、この世界に飛ばされたに違い
ない。
だから、もとの世界に戻るには、この世界でなにかいいことをしないと駄目な
んだ。」
「それなら、簡単じゃない。いつも、サミーしているよ。」
「そうだね。じゃ、バトンを渡すよ。」
魎皇鬼は、やや考え事をしながら、バトンを渡す。
「うん、シルバーミューテーション、えっ。」
「いいんだ。続けるんだ砂沙美ちゃん。」
「マジカルリコール。」
新たな魔法少女が生まれた。
「でも、良いことするには悪い事をする人がいないとね。こんな平和な世界じゃ。」
「そこでなんだが、悪い事をしまくっている天使たちがいるらしい。」
「それなら、簡単だね。魎ちゃん。その天使さんを倒したらお終いよね。」
「そうだよ。サミー。天使の居場所は、君のもっているその機械でわかるから。」
「うーん。生麦生米生卵。」
「なに、あれ。」
「死に神みだいだな。いつの間にか封印を解いたのか、でも、チャンスだ。
あれを倒したら、帰れるぞ。」
「うん、サミー、頑張る。」
「どうした、王女。変な格好して。」
黒い物体が話しかける。
「知らない。知らない。あんたなんか全然しらない。」
「ふん、もう忘れたのか。それなら、それでいい。前は、油断してやられたが、
今度はそうはいかないぞ。」
素早く手を伸ばす死に神。
「プリティーコケティッシュボンバー。」
「駄目だ。サミー、ここでは呪文が違うんだ。」
「えっ、注意するのが遅いよ。」
死に神につかまりそうになるサミー。
「ああ。」
魎皇鬼の嘆息が聞えたまさにその瞬間、大宇宙に閃光がきらめいた。
「貴様、何者だ。」
「ふふ、名乗るほどのものではない。」
「まて、そんなロボットはこの世界にはないぞ。」
「認めたくはないものだよ。若さゆえの過ちは。」
「俺は、何千年も生きている。」
「そのわりには、動きが遅いな。」
「魎ちゃん、何、あの赤いロボット。」
「はは、もう何でもしてくれ。」
なんて、二人が会話している間に、ロボットのバズーカーは次々と死に神に命
中していく。
「人類の新たな進歩の為に、シルバーサミー。」
「なんか、全然、わかんないけど、シルバーコケティッシュボンバー。」
銀色の光が死に神に収束していき、消えてゆく。
「なっとくできるかー。」
死に神の断末魔だった。
「良く頑張った。」
金髪のマスクを被った青年は涼しげに言う。
「今まで、魎ちゃんの事が好きだったけど。」
移り気な。でも、文句をいうべき、魎皇鬼はあまりの事に真っ白になっている。
「駄目だよ。私には使命がある。人類は新たな1歩をふみださないと。」
「そんな事、関係ないよ。サミーは、サミーは。」
「本来なら、私はここにいちゃいけない人間なんだ。」
「どうして、死に神を倒したのは、あなたじゃない。なのにどうして。」
「駄目だ。砂沙美ちゃんも大人になれば、わかる。私の住んでいた世界は、太陽
が昇り、
次々と消滅していっている。本来なら、ここにでる事すら、許されない身だ。」
「そんな事、砂沙美、納得できないよ。」
「お別れだ、砂沙美ちゃん。離れていても心と心は通じている。」
「できないよ。砂沙美には。」
「サミー、早くするんだ。そのペンでこのロボットに書かれた天使のマークを消
すんだ。
さもないと、この世界も消される。」
サミーは泣きじゃくりながら、ゆっくりとゆっくりと天使のマークをペンで囲
んでいく。
・
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「デンジェラスなとこだったわね。」
「あの世界では、僕たちは天使になるのか。」
「当然よ。ミサはいつだってエンジェルなんだから。」
「はあ、まあいいけどね。」
世界が消える事にくらべたら些細な事だ。留魅耶は痛むお腹をさすりながらそ
う思った。
------ 完 --------
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