ワンピース
「美紗緒ちゃん。あそぼー。」
マンションの呼び鈴を鳴らしならがら元気よく言う砂沙美ちゃん。その声を聞いて
いるだけで私まで、元気になれるような気がする。
「うん。すぐいく。」急いで、扉を開ける。
「今日は何をして遊ぶ。」返事をちょっと考えていると。
「そうね。公園で遊ぼう。」砂沙美ちゃんがすぐに言う。その声を聞いて、私はにこ
っと笑う。私は何も決めなくていいから楽。だから、砂沙美ちゃんと一緒にいると楽
しい。
公園で、いろいろな遊びを砂沙美ちゃんとした。私は今まで、他人と遊んだ事があ
まりなかったから、ほんとに楽しい。それに、遊び方もすべて教えてくれる。砂沙美
ちゃんと会えてよかった。思わずにこっと笑ってしまう。
私が微笑んでいたら砂沙美ちゃんが聞く。
「美紗緒ちゃん。どうして、長そでの服なんか着ているの。今日は暖かいのに。」
「うん、お医者さんが、あまり、日に当たっちゃいけないと言うの。」
「ふーん。こんなに、風が気持ちいいのにね。」
砂沙美ちゃんは、気持ちよさそうに、服から出ている肩を風にさらす。それを見て
いるだけで、私まで、肌に直接、風を受けているような気がする。だから、砂沙美ち
ゃんが好き。
「また、明日、学校でね。」にこっと笑って、砂沙美ちゃんと別れた私は、誰もいな
い家に帰る。でも、いいの。明日になったら、砂沙美ちゃんに会えるから。
「あなたは、どんな服が好き。私が子供の頃に着ていた服で悪いけど、好きなのを選
んで。」
「お姉さまったら、グレイトに太っ腹ね。うーん。」いろいろな服の中から、あたし
の金髪に似合う服を探していた。でも、どれもこれも、地味な服ばかり。その中で、
あたしは一つだけ、とんでもない服を見つけた。
「お姉さま、なに、この服。」
「あら、嫌だ。津名魅のお古が混じっていたのね。」
「この服、気に入ったわ。」
「そんな派手な服じゃ、恥ずかしくない。」あたしは首を振る。
「そうね。」裸魅亜さんは、何か考え込んでいる。
「いいわ。その服にしなさい。思い出したの。津名魅はもう忘れていると思うけど、
私ね、子供の時、津名魅の着ている服がうらやましくて、一着、黙って借りたの。
でもね、その服を着たら、すぐに風邪、ひいちゃった。私って、馬鹿よね。」
あたしは黙って首をふる。
「ちょっとまってね。その服に魔法をかけて、肌がでてようが、太陽にあたろうが、
病気にならないようにしてあげるから。」
こうして、あたしは素敵な服を手に入れた。
「留魅耶、でてらっしゃい。終わったわよ。」あたしが着替える間、外に放り投げら
れていた、るー君くんが帰ってくる。
「姉さん、こんな服、やめたほうがいいよ。恥ずかしいから。」
裸魅亜さんは、黙ったまま、ぎゅっと、るー君を握る。
「ウエルカム・砂沙美ちゅわーん。」
風がこんなにも気持ちいいものなんて思わなかった。おヘソを出した服なんて、一
生、着ることができないと思っていた。
「あなたは誰。」
ふふ、あなたの友達よ。砂沙美ちゃん。今日の遊びはあなたじゃなく、あたしが決
めるわよ。それで、いいでしょう。それにしても、なんて楽しいの。これも、この服
のおかげかしら。思わず、笑いが込み上げてくる。あたしは生まれて始めて心の底か
ら笑った。
終わり
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