愛の行為

「ピクシィ・セクシャル・ファイアー」お星さまになる、サミー。
「やったね、ミサ。初勝利だ。」
「本気を出せば、一瞬だばさ。にょっほほほほ。」なら、最初から本気だせばいいの
にという言葉を飲み込んで、
「ところで、サミーは負ければどうなるんだ。」素朴な疑問を言う。
「それも、そうね、今までシンクした事もなかったわね。」
「ミサ、バラバラ死体になっていたらどうする。」
「うっ。」ちょっと吐き気をもよおすミサだったが、
「るー君。ちょっとルックしてきて、お願い。」言外のプレッシャーに仕方なく、観
察に行く留魅耶。しばらくして、
「やめてくれー。」遠くからなにやら聞こえる。ピクシィイアーで聞いていたミサは
見る見る真っ赤になる。
「残念だわね、これ以上の記述はここの規定に違反しまくるから、しかたないから、
戦略的撤退。もしくは転進。」さっさと留魅耶を見捨てて、一目散に逃げるミサだった。

 次の日
「美紗緒ちゃん、どういうわけか、体中が痛いの。」砂沙美が待ち合わせの場所に、
少し遅れてやってくる。
「風邪じゃない。顔も赤いし。」美紗緒は心配そうに、顔をのぞき込む。
「砂沙美ね、美紗緒ちゃんの事が大好きなの。始めてあったあの日から。」そう言う
と、砂沙美は唇をそっと美紗緒の唇によせてくる。
「どうしたの、砂沙美ちゃん。」美紗緒は、わけがわからず混乱するが、さすがにた
だならぬ雰囲気を感じ、砂沙美を突き放す。
「美紗緒ちゃん。私の事が嫌いなの。」泣き出す砂沙美。
 いつもの、砂沙美ちゃんじゃない。もしかしたら、近ごろ評判の魔法少女、ピクシ
ィミサに悪い魔法をかけられているんだ。そうだと思う。何故だかしらないが、強く
確信した美紗緒は勇気をもって、砂沙美を強く殴る。当然グーで殴る。その友情の力
により、地面に倒れる砂沙美。
「ごめんね。砂沙美ちゃん。これも砂沙美ちゃんの為なの。」美紗緒が自分の友情の
強さに感動していると、急にやってくる鳥さん。
「鳥さん。砂沙美ちゃんが倒れているの。どうしたらいいの。」真摯な表情で鳥さんを見る。
「くるっくるくー。」当然、にらみつける鳥さん。
「頭が痛い。パパ、ママ、助けて。」というわけで、変身する美紗緒だった。

「ミサ、そのきれいな瞳で見ないでくれ。僕はもう汚れている。」がっくりとして言う留魅耶。
「許さないサミー。あたしのペットのるー君を汚すなんて。」見捨てたことはさっぱ
り、きっぱり、忘れて言うミサだった。
「サミーに変身だ。」いつの間にか、わいて出た魎皇鬼。地面にめり込んでいた砂沙
美は、むっくりと起きあがり変身する。
「るー君。エスケープよ。ツディのサミーはデンジェラスだわよ。」さっさと逃げ出
そうとするミサだが、
「逃がさないわよ。わたしの可愛いミサ。」その言葉にぞっとして立ち止まってしまう。
「るー君。また、犠牲になってくれる。」
「やめてくれ、あんな経験はもう二度としたくない。」
「では、もう一度、ピクシィ・セクシャル・ファイアー。」魔法の光につつまれるサミー。
「あなたは生き続けるわ、あたしの胸の中で。」涙ぐむが、
「甘いな、ミサ。」魎皇鬼がつぶやく。
「今のサミーは、ミサの魔法を吸収した事によって、いつもの素直な砂沙美ちゃんで
なくなっている。つまり、ダーク・ハイパー・サミーになっているんだ。だから、強
い。」爆炎の中から、全く傷ついていないサミーが立ち上がる。それに、いやに色っぽい。
「砂沙美ちゃんの押さえつけられていた感情が表にでてきているんだ。だから、今の
サミーは、あの、その・・・・。」口ごもる留魅耶。
「かなり、情熱的だ。と言いたいんだろう。」不敵にほほえむ魎皇鬼。
「どうして。お前は砂沙美ちゃんが、こんな風になっててもいいのか。」
「かまわないさ。俺は天秤さえ、戻ればいいんだから。この方が強いから、すぐに戻
る。」さすが、鬼。なんて、けもの二頭の会話の間にピンチにおちいっているミサ様。
「サミー。あたしがバッドだったわ。だから、いや、やめて、そんな事。」思わず、
目がくぎ付けになる、二頭だった。
「これ以上はさすがに、怒られるから、二人を引き離すんだ。」冷静な対応をしよう
とする留魅耶だが、
「サミーのテクニックにいつまで、耐えられるかな。」と悪役している魎皇鬼だった。
「確かに、あれはすごかった。いったいどうやって、小学校四年生であんな事ができるんだい。」
「ふっふ。俺がなんの為に、砂沙美ちゃんの家にいると思っているのかい。」
 二人は結局、会話しながら、目を皿のようにして見物している。
「ちょっと、るー君。ヘルプしないと後が怖いわよ。」脅してみるものの、いろいろ
な事をサミーからされている最中なので、どうも、迫力がない。
「ミサ、邪念はよくないわ。今は二人だけの世界なのよ。」こっちは、いっているし。
「サミー。そうよ。こういう事は二人っきりの所で、するものよ。ねっねっ。そうで
しょう。だから、まず、あのすけべそうに見ている二匹を始末してから、ゆっくりと
後でね。」ぞくぞくするようなセクシーな表情で言う。
「ふふふ、それもそうね。私たちの愛の行為を見ているなんて、失礼な獣ね。」ぎら
りと光る冷たい目。
「おい、大変だぞ。」留魅耶はそれに気付いてぞっとするも、
「砂沙美ちゃんは僕を愛しているから、絶対に大丈・・・」あっ、まともに魔法の直
撃を受けた。だから、注意したのに。
「つぎは、鳥さんの番ね。」サミーは冷たく言う。留魅耶を追いつめるサミー。危う
し留魅耶。君はまた汚されるのか。
「後ろががら空きじゃい。すかさず、ピクシィ・セクシャル・ファイアー・F。」
 こうして、ミサの活躍により、サミーの野望はついえた。しかし、いつ何時、ダー
ク・ハイパー・サミーが復活するとは限らない。頑張れミサ。負けるなミサ。世界を
守れるのは君しかいないのだから。

 で、エピローグ。
「魎皇鬼ちゃん、大丈夫。」美紗緒は魎皇鬼が怪我している事を聞いて、お見舞いに
きたのだった。
「ありがとう、美紗緒ちゃん。だいぶ怪我、治ってきたみたい。」包帯だらけの魎皇
鬼を看病する砂沙美だった。
「魎ちゃん。これ、砂沙美の手作りなんだから。口、開けてちょうだい。」スプーン
で優しく食事をあげようとするが、首を激しく振る。
「どうして、砂沙美のご飯を食べられないの。食べないと治らないわよ。」無理やり
口を開けさせて、食事を押し込む砂沙美だった。もちろん、いやいや食べている魎皇
鬼は食べ物で汚れてしまう。
「そんなに、無理やり食べさせちゃ可哀想じゃない。」
「だって、だって、魎ちゃん。食べてくれないんだもん。」
 ふと、美紗緒はその食事らしきものを見る。
「砂沙美ちゃん、味見したの。」
「えっ。」一口食べた砂沙美は、思わず吐き出してしまう。
「ごめんね、魎ちゃん。こんどはうまくつくるから。」
「私も手伝ってもいい。」美紗緒は見かねて、手伝う。二人は仲良く、手料理という
愛の行為をする。窓からみていた、鳥さんも、その結末になっとくして、「よかった
ね、美紗緒。」と言いながら飛び去っていった。めでたし、めでたし。


「ちょっとまて。」
「でたわね、包帯けもの。」
「だいたい、どこに、料理を道のど真ん中でつくる奴がいるんだ。」
「だから、あたしはやめてってトークしたのよ。」
「それに、そんなに不味い料理に留魅耶がすごいとか言うか。」
「すごいわよ、小学校4年生で料理がつくれるだけでも。」
「じゃあ、留魅耶とサミーのしていた行為の何が、ここの規定に違反しまくるって言うんだ。」
「ぐちゃぐちゃ、うるさいわね。ふーん、魎皇鬼君、あなたは何を想像してたのかし
ら。ミサ、全然わかんない。」
「・・・・。」
「ほれほれほれ、トークしてみなさいよ。ひょれひょれ。」
「それじゃ、最後にこれだけは言いたくなかったんだけど、どこに、ワンピースが出てくるんだ。」
「にょほっほほほ。あたしのこのハイセンスな、服は、ここの規定からいくとワンピ
ースなのよ。だから、あたしが出てるだけで、問題ナッシングなんだわさ。」

 この言葉に崩れゆく魎皇鬼。こうして、一つの悪は滅びた。だが、ミサ、油断は禁
物だ。この文章が没になる日は近い。いや、おそらく、没になるだろう。いくら、心
が広いMNAさんでも怒るだろう。いや、でも、魔がさして、掲載さしてもらえるか
もしれない。そう心の底から、願うのだった。

----終----

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